世界が鮮明に見える。





大きな壁画を描きつづけることって、マラソンをすることみたいな感じで、ひたすら毎日自分との戦いのようだ。
調子のよい日もあれば悪い日もある。
信じられないくらいはかどる日もあれば、信じられないくらいはかどらない日もある。
でも、はかどり続けないといけない。




早朝からの作業、連日の作業、腕と肩の筋肉がカチンカチンで痛かったとき、ずっと見ていてくれる人に、自分への厳しさを評価された、ものごとを地道にやっていくのは当たり前だと思っていたので驚いたけど、いい感じに肩の力が抜けた。
自分がどういうステージをイメージして生きていくかっていうこともとても大切だけど、ステージに対して自分がどうあれるか、ていうかどうあるか、をイメージしていくことも大切だ。




わたしは今、たいがいのことは投げ捨てて一つの作品に挑んでいる。
普通に生活をしようと思って、メリットデメリットで考えたらきっと普通はやらないと思う。
だからこそだと思うんだけど、だからこそ、人として作家として吸収することや新しく理解すること、発見することがものすごい多い日々だ。
きっと作品を作ることってこういう事なんだろうと思う。
何かが欲しいから何かをやるんではない。何かに役立つから何かをやるんでもない。
ただ、やるのだ。
ただ、ひたすらに。
それだけで世界が鮮明に見える。
ほんとに見えるんだよね、自分のことも、人のことも。